おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

COPPELION コッペリオン 1

ジャンルはSF、ヤングマガジンで連載中です
今連載してるマンガの中でもっとも面白いと思っているマンガの一つです 

あらすじより

舞台は未来、西暦にして2036年
東京は原発事故によって死都と化していた東京に3人の女子高生が送り込まれた。
彼女たちは遺伝子操作によって生まれつき放射能の抗体を持つコッペリオンであり、陸上自衛隊・第三師団所属の特殊部隊でもある。


以下ネタばれもあるのでよろしくね
近未来ものかつ、タブーに挑戦しまくりな作品です
原子力発電所メルトダウン、さらには遺伝子操作を受けて生まれてきた女子高生。
デザイン・ヒューマンとでもいえばいいのだろうか
現在の技術では達成可能であったとしても絶対に行われることはない

そういう感じがいいですよね

実際に舞台が未来とはいえたったの2036年 しかも原発事故が20年前という設定で、2016年、さらには遺伝子操作された女子高生が2036年にいるとすると16歳として、2020年にはこの女子高生たちは生まれていることになる

つまり、この未来ってのは限りなく現在の延長に近いといえる ドラえもんなんかは未来の設定がかなり先であるし、しかもそこで描かれる科学技術があんまりにも進歩しすぎているもんだから、現在と地続きの未来ではなく、断絶したような印象を受ける 

しかしこのコッペリオンは違う そういった舞台を選びながら遺伝子操作や原子力発電所などのタブーに挑んでいるのがすばらしい
そして、この物語では彼女たちコッペリオンは徹底して人間扱いされていないように感じる


彼女たちの名前はコッペリオンである 

コッペリオンはたぶんフランスの喜劇「コッペリア」からのもじりだと考えられる 

コッペリア」とは「コッペリア」という名前の人間だと勘違いされている人形の出てくるフランス喜劇である
つまりは彼女たちは「人形」であり「人間」ではないということだ
実際、彼女たちは随所で自分は本当に人間なのか、と悩み、もがくシーンが描かれる
第一話での茨の行動とそれをみた葵、タエ子の反応が象徴的である
茨は食事をするかわりにバランス栄養剤を注射でうち、この方が楽でいいだろう、と笑って見せる
一方のタエ子と葵はそれをみてショックを受ける
食事の代わりに注射で済ませる姿は彼女たちにとってはまさに「人形」に見えたのだろう
そして、自分が普通の人間とは違うことに固執している葵とタエ子にとっては自分たちを否定されたに等しかった

ことさらに自衛隊での訓練に際して、上官を「教頭」と呼ばせたり、訓練を学校にたとえているのはこのため
つまり、本当のところでは彼女たちを人間扱いしてないがゆえに、自衛隊の特殊部隊を「学校」扱いする欺瞞だ
SF作品としてだけでなく人間心理の欺瞞を容赦なく暴いていく作品ともいえる


「学校」で教えられたことと現実の東京の違いに少女たちはおののく
少女たちは2036年の死に包まれた東京で一体何を見るのだろうか?
続きが気になってしかたがない作品だ