おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

ブルターニュ幻想民話集

ブルターニュ地方の民話集。単なる民話集ではなく怪談集とでもいえるものになっているのはやはりかつてケルト文化圏であったブルターニュならでは


フランス中央部とはまったく違う風俗習慣を持つブルターニュの歴史をうかがわせる一品である

 著者はアナトール・ル・ブラーズ。ブルターニュで文学教授として働き、ブルターニュに伝わる民謡や伝説を収集し多くの本にまとめている。編著書には「バス・ブルターニュの民謡」「バス・ブルターニュ、死の伝説」、「ブルターニュの昔話」などがある。
この本では19世紀から20世紀にかけて、アナトール・ル・ルブラーズが実際に農民や漁民から話を聞いて、まとめた作品である。だから、怪談のような荒唐無稽な話が多い中、妙に描写がリアルで、現実と隣り合わせにある不思議な世界を描きだしているのだ。またブルターニュはフランスといっても、いわゆるヨーロッパとは違い、ケルト人の子孫たちが住む、風俗習慣のまったく違う土地である。ならば当然、その民話もまた違ったものになる。ケルト民話にある、あの幻想的な雰囲気、不幸を避けるための独特の儀式、死の前兆や不思議な力を持った人々が登場する話などである。
本書は非常に死に彩られているといえる。多くの話ではハッピーエンドとは死ぬことなのだ。ここら辺が現代日本人にはなかなか理解できないところで面白いところである。この世で犯した罪を償うために試練に耐えて死に、天に召されるという話がとても多いんだよ。ほかにも死の予兆についての話がかなりあるしね。
一風かわった幻想の世界にまどろみ、楽しみたいという方にはぜひお勧めです

広告を非表示にする