おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

傭兵ピエール上下巻


今回は英仏百年戦争を舞台にした歴史伝奇小説傭兵ピエールを紹介したいと思います。
作者は西洋中世史の研究で有名な佐藤賢一です。王妃の離婚なんかが有名な人ですね。
さすがに中世研究のプロの作品なだけあって、臨場感はぴか一な作品です。
さらに、作者の語り口がかっこいいので、いうことなしです。


●あらすじ
古の名宰相、アルマン・ドゥ・ラ・フルトの私生児である、ピエールはシェフ殺しの異名を誇る傭兵であった。ピエールは私生児といえど、名家の血をついでいる。しかし、戦乱の最中では家がらもあまり意味を持たずに、傭兵へと落ちてしまった。そんなピエールの夢は立派な貴族に成ることである。戦乱の世の中であれば、それもまた不可能ではない。ピエールは傭兵として悪業の限りをつくしながら、英仏百年戦争を戦うが、やがて救国の英雄、聖女ジャンヌ・ダルクと出会い、恋心を抱くことで彼の運命は変わっていく・・・



●見どころ
魅力たっぷりな傭兵隊のメンバー、ジャンヌ・ダルク、傭兵隊に誘拐されてきた女性たち(のちに傭兵隊のメンバーの妻になる)、傭兵の英雄ラ・イールと多彩なキャラが独自の意志を持って自由自在に動き回ります。
主人公ピエールは傭兵隊長としてありとあらゆる残虐な行為、戦争犯罪を犯しますが、その一方で若い部下を守るために高額の身代金を払ったりと仲間にはとても愛情を見せます。女性のペースで物事が動くのを嫌う一方で、それをどこか悪くないと思っていたりもする。そうした矛盾をはらむ側面がとても魅力的なキャラクターです。
また、このストーリーは史実をベースとしたもしもの世界史、空想歴史を舞台にしています。
本来ならば魔女として処刑されるはずのジャンヌはいったいどうなるのか、ピエールとジャンヌの恋の行方は、とはらはらしどうしになることまちがいなしです