おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

傷物語

今回紹介するのは西尾維新傷物語です。
化物語の続編であり、時系列としては化物語よりも前の話になります。
主人公の阿良々木暦は、化物語の段階で、元吸血鬼であり、吸血鬼としての特性を持っていました。
傷物語では阿良々木がなぜ、吸血鬼になってしまったかが語られています。



 化物語では、忍野忍として語られる、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと主人公がどのようにして出会ったかがメインの話です。
あと、羽川翼との出会いの物語でもあります。
傷物語では、化物語では戦場ヶ原、神原、それに忘れちゃいけない八九寺真宵に押されてしまってるともいえる羽川翼が全面に押し出されている作品なんで委員長萌え!と化物語読んで思っちゃったお兄さんはとりあえず読みましょう。



まず、今回傷物語を読んだ感想として、
西尾維新は言葉の使い方がうまい、なあと思わされました。
この本のタイトル、傷物語
徹底的にハッピーエンドを避けてこの物語は、だれもが幸せになることはできない代わりに誰もが少しずつ不幸せを受け入れることによって決定的な破局を避けるというエンディングを迎えます。
この物語のタイトルの通り、だれもが心に傷を受けるのです。
しかし、その傷はあきらめ、現実を受け入れるのではなく、どこまでも現実に起こりうる悲劇を否定するがために、誰もが被害者であるだけでなく、加害者でありうることを受け入れるために必要な傷なのです。

ある意味、中身がないという批判を受けてしまうと、トートロジーと言葉遊びの世界の小説でるというか、中身がないけど面白いというタイプの小説であることを批判しえない小説なので、あえてタイトルと言葉遊びの線からの感想を書いてみました。
なにはなくとも面白い作品でるのは間違いないのでぜひ読んでみてください。