おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

されど竜は罪人と踊る、16巻 感想

され竜の16巻を読みました。
ハオル王国編、アザルリ編とでも言える話が完結した。

2ヶ月連続刊行、2巻で完結とくれば前回のザッハドの使徒編に比べるとかなりスピーディでよかった。
アンヘリオやザッハド、カジフチ、パンハイマといった悪役が悪かったということではもちろんないんですが。
でもさすがに半年に1回、一体何巻まで続くんだザッハドの使徒編はってなるといやになってくる面もあるから仕方ないですね。

感想

前回から続いて敵は相変わらずアザルリだ。
敵の攻撃を反射し、さらには人間をオモテウラ反対にして殺す次元咒式を操るアザルリとどうやって戦うの?策を弄して生き延びろ!がデフォルトの話でありました。

俺TUEEEが嫌われたりもする世の中ですが、ここまで主人公が弱い話ってのも珍しいかなとか思ったり。
人間やめちゃいましたレベルの強いキャラのなかではなく、いっちゃ悪いけどモブな人たちと比べるとギギナとガユスも当然滅茶苦茶強い枠に入りますよ。
でもさらに強いやつらがたくさん出てくるという多重構造になっていて、狭い世界の中では強いギギナとガユスも世界レベルの戦いからすると当然のように役立たずだったのだ、というだけの話みたいですが。

意味深な宙界の瞳の説明が始まりましたね。
世界に8つあるとか、咒力の強化・咒式の妨害ができるけどそれだけではない、といろいろと重要そうな情報がでてきてました。
基本的には世界とためを張って云々というキャラではないガユスが世界規模で起きる策謀に巻き込まれるための重要なファクターですね。
あとガユスは世界で一番レベルで不運な男なのでそれをもって世界を揺るがす陰謀に巻き込まれるんでしょう。

ガユスは強くなるのか?

ところで、ガユスはこれ以上強くなるんでしょうか。翼将を俺の超咒式で皆殺しだ!いぇーい!とは到底ならないだろうということはわかりますよ。
ただ、やはりパーイーモーン、パズズー、アッザゼールの初登場時のインパクト、カタルシスたるやなかなかのものだったので期待したい展開ではありますが。

ギギナは俺よりも強い奴に会いに行くだから強くならないと仕方ないとしても、ガユスに関してはもうパワーアップすることもそうそうないんだろうなぁ、と思っています。
指輪があるから其の力を引き出すことができるようになったら少しは強くなる可能性があるのかな?でもそれで強くなったとしても、其の強さ自体はイベントバトル専用で、それが終わったら使えなくなるって展開だろうな。
風呂敷を広げすぎて訳がわからなくなってきてるけど、ガユス自体は過剰な強さを求めていくわけではないんだとおもう。
やはりガユスのいいところは限られた力で、それでも譲れないものを持って、強敵に挑んでいくところにあるんだと思う。
策で戦うといっても根本的な力が不足しているからどうしても強敵にほかの強敵をぶつけて~となっていくのは仕方ないと思うのだけれどね。
強いていうならば、ギギナはともかくガユスは大人になろうとしているから自分とは関係ないところで事件の結末が決まってしまうということになれている、ということなんだろうか。
ウォルロット編のラストは大好きだったなぁ。思えばあそこからガユスは大きな事件に巻き込まれてベストを尽くすが、最後は自分の力ではなく周囲の力で勝つという路線が決定的になった。
あとガユスは、超人ではなく運の良い勤勉な凡人なので、「うまくいかないこと・思い通りにいかないことに慣れている」というのが決定打になる展開って多いかもしれない。
ウォルロット編のラストはジヴーニャに振り向いてもらえなかったことから自ら死を選ぶウォルロットの去り際が美しも儚い良い話だったわけ。
そのあとガユスの独白で自分もジヴーニャに裏切られたら生きていくことはできないって言ってたけどガユスは弱さを武器に変える人間なので多分ジヴーニャが死んでも活きていけるんだと思う。
自分でなんでもする/できるかわりにそれに失敗したり、モチベーションを失うと死ぬしかなかった英雄/ウォルロットとはそこが最大の違いであり、人間的なところなんじゃないかと思うんだよね。

アラヤ女王をピーしたやつらの拷問シーンは必要だったか

あんなのいいからもっとキャラの心情を描写しろよって意見もそこそこあるみたいですが、個人的にはあってよかったと思ってます。
被拷問者の咒力を奪って、治療しつつも拷問を続ける咒式の描写がよかった。なんというかあざといい気はするんですけどね、アラヤ王女のレイプシーンといい拷問といい、実にあざといんですけど、設定を考えたりその後をただ拷問されたました、まるで済ませないところは実に良いと思うのでもっとやってくれて感じです。
アナピヤの研究所での描写以来のヒットだと思う、個人的には。

クエロとオボロホの再登場

獣姦系咒式少女が復活してた。クエロ信者になってな。
世界の敵の雷嵐の女王=クエロは読者からしたら間違えようんがないけど、そのことが証明された。世界の敵がたくさんでてくるんは結構ですが、これだけ数を出すとちゃんと描写せずに死ぬ or フェードアウトするやつも多そう。
というか3人ずつくらいのペースだと翼将も世界の敵も話にちゃんと出す/殺しきるまでに何巻でることになるかわらんないよね。すでに16巻もでてるのにね、という話。

モブキャラは簡単に死ぬがメインキャラは死なない問題

結構され竜の作風は好きんだけど、それでもちょっと閉口するのが上に書いた問題。
サブキャラは簡単に死ぬ。もう信じられないくらいあっさり死ぬのにメインキャラは何があっても死なない。
今回のガユスが半身裏返ってしなないってのはどうなんだろうと思ってしまった。
ニドヴォルグ戦では完全に死んだあとに蘇生させられたりしてたけどさ。
でもあそこで死んだのは、そのあと生き返らされた自分は、死ぬ前の自分と同一なのかと悩むガユスの描写があったからチャラだったなぁ。

ピリカヤが脳みそ欠損してもう死にませんは結構無茶苦茶やってくれたよってなった。脳みそが欠損しても蘇生・回復するクロプフェルの咒式は異常にすぎる。ってところですねー。