唐辺葉介 PYSCHEを読了
唐辺葉介氏のPYSCHEを読了したので感想をば
- 作者: 唐辺葉介,シライシユウコ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/10
- メディア: 文庫
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結構、どころかかなり楽しめました。
面白かった、というよりも楽しめた、が正解かな?
非常に唐辺葉介っぽい作品でした。
酩酊感・浮遊感とでもいうようなものが味わえて、よい。
ストーリー自体を楽しむというよりも、文章表現とその雰囲気を楽しむ作品といった趣です。
CARNIVALの小説版を好きだった人は、すごい好きになれると思う。
ドッペルゲンガーの恋人よりもさrにストーリーよりも世界観・雰囲気を楽しめといった文章。
キラ☆キラの、きらりが死んじゃうルート、俗にいう鹿之助ルート的と似ているかな?
ネタバレ含んだ感想注意
家族を飛行機事故で失った主人公が、さらにはなついていた従兄弟のお兄さんのジサツにまで直面してどんどん狂っていく話。
主人公が、自分が狂っていることに対して非常に自覚的である一方で、どこまでが実際の出来事で、どこからが幻覚なのかわからない、といったところで非常に浮遊感・酩酊感を味あうことになる作品です。
最後に、モルフォ蝶の羽に油絵の具を塗ってしまって、金属のような光沢のある不思議な羽が茶色のゴミのようになってしまうところが一体何を意味していたのか。
新井先生の助けを、心の壁を作って遠ざけてしまったことと対比する形で、羽を台無しにしたことが語られているので非常に寓意的なラストに思えて結構衝撃的でした。