おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

ゴッドファーザーにつぐギャング映画、グッドフェローズの感想

グッドフェローズは、アメリカ映画史に残るギャング映画で、ゴッドファーザーにつぐ作品だ。
実在の人物、ヘンリー・ヒルを題材に、マフィア界に生きる男たち、それに女たちを描く。

マフィアの世界がいかにイカれているか、それがテーマだといえる作品だ。
デ・ニーロが演じるジミーのキレキレな殺しまくりスタイルに象徴される、恐ろしいマフィアの世界を描く。

ゴッドファーザーと並べて語られることが多いこの作品。ゴッドファーザーとの最大の違いは、この作品は、ゴッドファーザーほど綺麗じゃない。
汚い、マフィアたちのつながりと、其の世界こそが描かれている。

ヘンリー・ヒルとは?

アメリカに実在したギャングスター。大統領になるよりも、マフィアに憧れた。
11歳の子供の頃から、マフィアの使いっ走りをし、その後ありとあらゆる犯罪に手を染めた人間だ。
意外と最近までいきていて、2012年までいてきた。
心臓麻痺で死んだんだから大往生だ。
#このときヘンリー・ヒルは69歳のはず。

登場人物のモノローグに味がある

主人公のモノローグが作中いろんなところに挟まれる。マフィアたちの日常を描きながら、それが主人公の人生にとってどういう意味があるかということを、モノローグで語っていく。

マフィア界の華やかなで過激、そして危険な生活

マフィアたちのやばい日常が描かれていく。
作中でなんといっても印象的なモノローグは
「殺しは日常だ。規律を守るために必要だから。規律から外れたものたちはころされる。時には外れなくてもころされる。殺しは癖になるからだ。」

そう、殺しは癖になるからだ。
実際、登場人物のトミーは殺しが癖になっているやばいやつだ。マフィアの大物の出所パーティーで自分を侮辱したその、パーティーの主役を殴り殺す。
カードバー?みたいな店の若い兄ちゃんの対応が気に食わないから足に拳銃を打ち込む。足を撃たれて、くそったれといった若い兄ちゃん、スパイダーを今度はほんとうに撃ち殺す。
拳銃で腹にバンバンバン。

危険すぎるマフィアたちの世界が描かれていく。

こいつら、刑務所でもやりたい放題だ

FBIタイピストの妹を持つ同業者を傷めつけたことが原因で、逮捕される主人公たち。
でもこいつら、刑務所でもやりたい放題だぜ。
刑務所でステーキ、ワインに舌鼓。一応収監されてるってだけだ。
この主人公のモデル、ヘンリー・ヒルも収監されるにあたって、裁判を引き伸ばしてその間に「快適な」刑務所を調べて、それでもって刑務所の主になっていたらしい。

危うい均衡の上ではあるのだが、腐敗した国家はマフィアたちに出し抜かれていく。巧妙な手で、マフィアたちは、賄賂を使い、制度の穴をついてやりたい放題している。

最後のヘンリー・ヒルの台詞の通り。
彼らは何でも買収した、すべては金次第。金がなくなれば盗みに行く。
まさしく無法者たちだ。

ルフトハンザ強奪で明かされるマフィアたちのご立派な絆

今日の価値で1800万ドルの強盗を、ジョンFケネディ国際空港でやってのける。
で、強奪はうまいこといくのだがそのあとが問題だ。

ルフトハンザ強奪に関わった人間のひとり。ジミーから金を借りていた男、モーリーが問題だ。
こいつは流布テャンザ強奪ではそれなりの仕事をしてのけたんだけど、分前をよこせ分前をよこせとうるさい。
比較的下っ端の主人公に対して金金金と喚き散らす。

これまでの、「殺しは癖になる」「規律を守らないやつはころされる」ここまでみてれば映画を見ている側はモーリーがバラされるのは明らかだ。
主人公からみても、ジミーはかなり苛ついていて絶対殺すのが明らか。
なのに本人ばかりはそろそろ金がもらえるはずと、ひたすら陽気。見てて哀れというか痛々しいというか。

そう、ジミーは下っ端たちに金を握らせる代わりに殺してしまうことを選んだのだ。そして自分がルフトハンザ強奪とは無関係であるようにしていく。

表面上は仲よさげに振る舞ってるけど結局大事なのはお金で、そのためなら仲間もどんどん殺していってしまう。

作品のテーマはやはり、マフィアたちの危険な世界を描くことなんだろう。
実際、ヘンリー・ヒルはマフィアたちの世界から足を洗うことでしか生き延びることができなかった。
比較的、、マフィアの世界で成功を収めつつあった人間ですら、そうなのだ。