おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

エルリックサーガがKindle化されてました

記事タイトルの通りです。
エルリックサーガが、Kindle化されてました。
ハヤカワ新装版です。

あの、アリオッホのほうですね。

メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)


エルリックサーガとは

人間そっっくりだが、人間ではないメルニボネ族の王子、エルリックが、魔剣ストームブリンガーを手にしたことから、混沌の神と法と秩序の神の争いに巻き込まれていく、というファンタジーシリーズです。

アルビノに生まれて生まれつき虚弱で、魔法や薬品に頼らないで生きることはできない主人公エルリックなのですが、玉座を狙う従兄弟イイルクーンとの戦いのなかで、魂をすする魔剣ストームブリンガーを手にします。
このストームブリンガーは、倒した相手の魂を食らう魔剣で、その魂から得た活力の幾ばくかをエルリックへと供給することができます。
そのおかげでエルリックは魔法や薬品に頼らずに生きてけるようになるのですが、そこはやはり魔剣ということで、エルリックの意志に反して、エルリックの身近な人間をも犠牲にしてしまうのです。

アンチヒーロー的でありながらヒーロー

エルリック・サーガの魅力の一つは、主人公エルリックが魔剣の力で敵をけちらして、はいおしまいというわけではないところですね。
人にそっくりだけど、人ではないメルニボネ人はただ自分の快楽のことのみを考え、善悪というものに興味すら抱かない種族として描かれます。
ただ、主人公のエルリックは、そういったメルニボネの王様でありながらメルニボネらしくないところをもっていて、常に善悪や倫理とうものに頭を悩ませています。

自分の行動が正しい行動だったかどうか常に悩みながら進んでいく様は、どけどけい俺様が通るんでいというような雑なヒーローとはまた違っていいです。

60年代のファンタジーとしては画期的ではないでしょうか。

また、エルリックが携えている剣はストームブリンガーという魔剣で、その魔剣がもたらす宿命は実に悲劇的で、主人公のやることじゃないだろ!みたいなことに巻き込まれていくのも実にアンチヒーローしてていいです。

ただ、その一方で主人公はこれぞ、ヒーローのあり方!と言えるような行動をとる部分があり、アンチヒーローとしての部分とヒーローとしての部分が絶妙でたまらんのです。

久しぶりに読んでみて

速いところ、汝の1000倍も邪悪であったぞ!が読みたいので頑張って読んでます。

久しぶりに読んでみても読み応えがあっていいですね。
わたしは、ハヤカワ版1巻の、最初のイイルクーンとの争いのシーンで、イイルクーンがその魔剣でだけはころさないでくれと命乞いをするシーンと、結局はエルリックがイイルクーンの命を助けてやるシーンが好きでした。

ヒーローはやはり敵を見逃さないとな。
そのせいでひどい目似合うとしても、慈悲の心というものをヒーローが見せるのは良い展開だ。