おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

デルフィニア戦記 第1部放浪の戦士

今回紹介するのはデルフィニア戦記です。
カテゴリをラノベにしましたが1993年当時にラノベって言葉はあったのでしょうか。
私が読んでいるのは中公文庫版、でC★NOVELSで当時発行されたものの再録版です。


ジャンルはファンタジー、異世界からやってきた少女が国を逆賊に追放された放浪の王様を玉座に据えるお話。
注目すべき点として少女はもともとは男性であり、あくまで男性として振舞う、といったところか。
放浪の王様、ウォルも王様らしくなくフランクに少女のことを同盟者と呼び、女性としては扱わない。
あと男性的に振舞う女性という意味ではシャーミアンかなー。
彼女はあくまで女性としての振る舞いがメインだけれども剣を持って戦場で戦う描写がありますし。
1部の初期に女性だと思ってシャーミアンのことをナメてる貴族のボンボンがやられてたw

もともと十二国記が出ていた、講談社X文庫ホワイトハートなんかとおんなじ匂いがする。
たぶん男性よりも女性を客層としているのだろう。
そういえば、十二国記の陽子も男性性の強いキャラクタでしたね。
それでいて美人って設定があった気が・・・

トゥギャッター腐女子をあこれこれ分析したがる男性へのいらだち?だったかな、そんなタイトルでまとめられていた物の中で興味深いつぶやきに
「君はちっとも女性らしくないけど魅力的だ」
という褒め言葉は少女漫画、あるいはそれに順ずる世界では一番の褒め言葉だ、という言葉がありました。

つまりデルフィニア戦記の主人公はウォル、かもしれないのだが読者が感情移入するべきは異世界からやってきた少女、リィなのかもしれない。

ウィキペディア見てきたけど主な登場人物紹介もウォルよりもリィが上に書かれてるしw

あくまでも英雄譚としての物語なので登場人物の苦悩と成長、というよりも純粋に活躍を愉しむべし。
ハイファンタジーとして考えると多少物足りなかったりするかもしれないが、軽い読み物としてさくさく読む分には非常に楽しい。

ウォルとリィの他にもラモナ騎士団長ナシアス、その副官ガレンス、ウォルの従兄弟でありティレドン騎士団長バルロなどの魅力的なキャラクタ-が次々でてくきます。

細かい設定の矛盾や疑問に汲々とするよりも魅力的な登場人物の掛け合いを愉しむほうがいい感じです。
なんで物語に重み、重厚さを求める人にはちょっと向かないかもしれません。

異世界や時代の違いなどをあまり感じさせないところがありますので。