BLAME!、アニメ映画 感想
BLAME!がアニメになるというハチャメチャな時代が着ました。
弐瓶勉のデビュー作にして傑作ではあるものの、とっつきにくさは尋常ではない作品でした。
セリフがない、カメラアングルがゴリゴリ変わるせいで何が画面でおきているかわからない、作品内世界観の説明がほぼない、というかなりハードな作品。
作者はわからない絵を見て読者が想像をふくらませるほうがSFとして上等なのだ、というようなことを画集かなんかで語っていました。
※画集がでており、インタビューが乗っています。
- 作者: 弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/10/24
- メディア: コミック
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作中では説明がないのと、絵の中で何がおきているかがわからないがゆえに混乱してしまいますが、話の筋、プロットとしては非情にかんたんな話です。
遠い未来、人類は謎の構造物を作りそのなかで暮らしていました。そしてインターネットの超発展版とでも言える、ネットスフィアとやらをつかって様々な技術を享受していきていたのですが、ある時を堺にそのネットに接続する技術を失ってしまいます。
ネットに接続するための能力を何故か遺伝的に埋め込んでいたもので、謎の「感染」によって遺伝子汚染が発生して能力を失ってしまうんですね。
そうすると、ネットに接続できないが構造物に住んでいる人間を、構造物を守るロボット警察みたいなのが片っ端から排除してしようとする謎のディストピア都市が誕生しました。
しかも構造物自体も、ネットに接続して構造物を作るためのロボットを制御する人間が消滅したがゆえに滅茶苦茶な形に変形させられてしまい、もう構造物の中に住んでいる人間も自分がどこに住んでいて、ネット遺伝子が何でみたいなことも全部忘れてしまうんですね。
そういった世の中になって、人間がかつての文明を忘れ果てたくらいの時間が立った頃が物語の舞台です。
霧亥という主人公がネット端末遺伝子=ネットに接続するための遺伝子を持っている人間を探し、構造物の正常化を図り、また人間が構造物を支配して生きていけるようにしようと旅を続けるというのがの核部分です。
でもこのことはびっくりするくらい明示的には語られず、登場人物たちの会話から推測するしかないんですね。
そして登場人物たちのバックグラウンドはほぼ不明です。
主人公の霧亥に至っては最初から最後までバックボーンが語られることはなく、ただひたすらにネット端末遺伝子を探して大暴れするだけの台風みたいな存在です。
ちなみに、ネタバレになるので最終回については自分で読んでほしいんですけど、特に最終回についても説明がない、というか理解ができない内容になっています。
だらだらと書きなぐりましたけど、つまりはこういうことで、何が画面でおきてるかもわからないし、設定の説明も作中であんまりないから読んでいる中で推測していくしかないし、で限られた時間で物語を楽めないといけないアニメ映画には全くむいてない素材なんです。
それでも、映画を見に行ったのは弐瓶勉自身が総監修をしているという事実と、面白くてもつまらなくても見に行かないわけにはいかないという謎の義務感からでした。
実際に映画を見に行った後の感想
BLAMEがエンタメになっている、という点でまずは非情に感動を受けました。
だらだらと上で書いたように結局BLAME!って画面で何やってるかもわからなければ、設定も第一話の読み始めとかは本当に全くわからない。
それを曲がりなりにも盛り上げる場面を作り、無理くりな視点変更をやめ、と綺麗に映像化しているところには感動しました。
また、ストーリーがあるようなないような話だったのを、弐瓶勉が積極的に関わっていって大きく作り直しているという点も評価できると思いました。
設定も結構変更されていて、シボの扱いなんかはちょとギャグっぽい描写もあったりして笑えるくらい変更されてましたね。
重力子放射線射出装置の描写とか、みたいシーンはそれでいてきっちりキメているところも個人的には評価が高いところでした。
やっぱり全体を通して言えることは原作者が積極的に前にでて、映画になっても通じるようにストーリーを書き直している点が大きいですね。
まぁ、弐瓶勉も丸くなったんだな、といってしまえばそれまでなんですが、映画はやはり短い時間で魅せる必要があるため、どうしてもこういう変更は欠かせないんでしょうね。
最近はSF映画ってちょっと個人的には不発が多かったので、ガッツリ楽しめるSF作品が映画化されたということでも嬉しかったです。
ちなみにわりとどうでもいいですが、入場特典はシボでした。
サナカンのほうが嬉しかったかも。。。