死体泥棒 唐辺葉介著、読了
- 作者: 唐辺葉介,シライシユウコ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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瀬戸なんたらさんこと唐辺葉介の死体泥棒を読了。
唐辺葉介ってようは瀬戸口廉也って名義でエロゲライターやってた人です。
最近は唐辺葉介って名義になって、ラノベとか書いてます。
つめたいオゾン、とか犬憑きさんとか電気サーカスとか。
他人のラノベおすすめ記事をよく見たりするんですけど、個人的なおすすめとなれば、瀬戸なんたらさんもとい、唐辺葉介はすごいおすすめです。
唐辺葉介とされ竜を押すのが最近のマイブームです。
独特の酩酊感・没入感のあるいい文章を描く人でいいです。とても雰囲気のある文章を書かれる。最近は挿絵がシライシユウコさんで、それもまた雰囲気のある絵でいいです。
少し活気、というかみずみずしさは不足してて無機質な絵だな、とは思いますが。
エロゲ時代のストーリーの問題で、欝展開・サイコパスの描写が~っていわれちゃう人なんですけど、感情の機微を描くのがすごいうまい人なので、おすすめです。
物語がちょっと、というかだいぶ暗い雰囲気を帯びているのは事実だとは思いますが。
瀬戸口廉也/唐辺葉介はサイコパスの描写が上手なんじゃないんだ!エモいんだ!
最近Twitterで瀬戸なんちゃらさんはサイコパスの描写がうまいっていわれてるけど、実際はエモいのがいいんだからね、という感想を見ました。
バンドマン周りのエモいって言葉の意味がよくわかりません。
でも瀬戸口廉也にサイコパス要素を求めるのはなんか違うと思うのは、納得です。
鬼頭莫宏も自分的にはサイコパス要素というよりもエモいんだと思います。
なるたるよんで、のり夫が解体されるシーンも解体する豚食いではなくて、あくまで死んでも・相手が振り返ってくれなくても愛する相手に尽くそうとするのりおが書きたかっただけだものね。
人が愛する人の死を受け入れるまで
恋人が死んでしまったことを受け入れられない主人公が、葬儀場から恋人の死体を盗み出す話です。
ネタバレも何もなく話としては徹頭徹尾それだけ。
ひたすら主人公の心の葛藤を描きだすだけ。それも、他人視点からみて、というのではなくてあくまで主人公の一人称視点からみてのことなので、物語自体にあまり起伏もない。
でも、なんか不思議と引き込まれるんだなぁ。
ここがよかったよ死体泥棒
読んでてて好きだったシーンは、主人公が家庭教師をやっている女の子が、主人公をおっかけて家にまでくるシーン。
主人公を好きだっていう中学生の女の子に主人公が意地悪を言うシーンがあるんだよね。
「なんでもしてくれるの」「するする」「なんでもっていったよね、乱暴しちゃうぞがおー」
みたいな
好きなシーンとかいいながら、詳細を覚えてないからめっちゃ適当。
ただ、このシーンがすごい暴力的でさ、主人公が人生に対して投げやりな感じになってるのがよく描かれててよかったなぁって。
結局主題はなんだったのか
あらすじとしては主人公は恋人の死を受け入れられないようです、みたいな話で、結局受け入れることまではできなくても直視するところで終るんだけど。
盗んだ死体をちゃんと火葬して、納骨するところで泣いちゃって、、、みたいな。
でも主人公が、恋人が死んでからそのことを悲しむシーンって実はあまりない。
死んじゃうなんて信じられない、おいてくなんてずるい、どうしたらいいの、ぼくは
そんな感じなんだよね。
人が愛する人の死を直視するには時間がかかるよ、ってのが話の主題だったのかな
あるいは、受け入れるまでの心の動きを描こうってのが主題だったのかな?
細かいところでライターの癖?的なものを
瀬戸なんたらさん、というか唐辺葉介さんって結構お薬とか精神病に詳しい人なのかしら、というのが気になる。
作者の自伝的要素を含んでいそうな電気サーカスでもラリりになるシーンはあるし、今回も睡眠薬と酒の複合でオーバードーズになるシーンあるし。
最後に
いまは唐辺葉介作品は、つめたいオゾンを読んでいる最中です。つめたいオゾンは比較的起きる事件がたんたんと描かれていく作品だけど、作者の魅力はどちらかというと、何がおきているか、よりもどう感じているかなんだなと思っています。
そういう意味ではプシュケほどではなくても、その主人公が何を感じているのかって魅力がすごいでている作品なので、おすすめできる作品でした。