おもしろきこともなき世におもしろく

ライトノベル・SF・マンガ・ゲームの感想。それにMtG(モダン・ドラフト)についてちょろちょろと記載。

化物語 ひたぎクラブ 再読

ひたぎクラブを久しぶりに再読。
いまはまよいマイマイを読んでいる。

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(下) (講談社BOX)

化物語(下) (講談社BOX)


ついでにアニメのひたぎクラブもみました。
以下、再読した感想を。
最初に読んだのは今を然ること6年前くらいだと思うので、かなり、懐かしい。
(アニメはみてたけど。)

アニメキャラデザと、原作挿絵の違い

原作挿絵の戦場ヶ原さんのほうが普通の表情しているね。なんか柔らかい。
一方で、アニメの戦場ヶ原さんのほうが取り付くしまのない雰囲気が声優さんと相まってしていいね。
声優さんは斎藤千和さん。
あれか、あまり声優の名前は知らなかったのでしらべてみたけど、暁美ほむら、葵・喜美、スバル・ナカジマとかのひとか。

記憶よりも短編

100ページくらいですっきりまとまった短編でした。
あまり長い作品は好きではない、というのが最近の感覚なので1時間半ちょいの通勤で読みきれたのもグー。
まぁ、ひたぎクラブは自体は上下巻の化物語の一編なので、化物語自体は長いのですが。
ひたぎクラブ自体は、もともとメフィストで連載されいたみたいなので、長さがそこまでないこととかなり読みやすさが重視されているのも納得。
個人的な感覚でしかないんですが、雑誌連載されている小説は読みやすさを重視しているイメージ。週刊連載のまんがじゃないけど、毎回ひきをつくれるならつくりたからでしょう。

思っていたよりも固めの文体、文章

ライトノベルなんていわれるようなジャンルに入る作品ではあるとはおもうんですけど、記憶にあるよりも文体はしっかりした感じ。
いや、最近翻訳小説は読んでないし、ラノベばっかり読んでるしで、やわい文体ばっかり読んでいるからかもしれないけど。
記憶にあったよりもしっかりとした読みやすい文体だったのがGOOD。
最も言葉遊びや、テンポのよい会話などの軽い、読みやすい部分も多々ありそれもよし。

アニメとの展開比較

結構、アニメだけ見るとなんでそうなるの?がわからない作品だと思う。
展開はほぼ忠実に原作をなぞる。
でも原作では説明されるけど、アニメでは説明されない心情描写がたくさんあるのだ。
もちろん、仕方ない部分は多いんだけどね。
尺的な都合もあるのだろうし(アニメは2話で完結させている都合もあるのかもしれないし)、阿良々木くんを通して読む話で、阿良々木くんの内面的な部分を必ずしも絵が書けるものでもないから。

特別なひとが普通の人になる話

中高生向けの娯楽小説には特別な人がたくさんでてくるという、偏見がある。
でも、化物語は、というかひたぎクラブはどちらかというと特別なひとが普通の人になる話だよなぁ。って。

戦場ヶ原ひたぎという、ツンドラ少女がまぁ少しは丸くなる話。
過剰な警戒心や攻撃性を持っていた人間だった。
自分の辛い気持ちを神様に預けることで重さを失ってしまった少女だった。
それが阿良々木くんという友達を得て、失うことで救われようとしていた感情と向き合うことで、失ってしまった体重を取り戻すのだった。

という具合に特別な人が普通の人に戻る話でもあった。
そして、教室で誰とも話をせずに一人本を読んでいても、それが当然のような、他人と距離を作りつつも、侮られないようなタイプの人間だった戦場ヶ原ひたぎ。
それが、少女のように(って少女なのか)泣いてそれで話は終る。
普通の人に戻れてよかったね、という話だ。

語られる思わせぶりな伏線

全シリーズの戯言シリーズでもそうだったけど、相変わらず西尾維新は思わせぶりな伏線を張るのがうまい。

この短編のなかだけでも、主人公阿良々木くんが、実は吸血鬼になっていたことがあったり、それが春休みの話だったり、委員長の中の委員長であるところの羽川翼ゴールデンウィークに因縁があったり(これは色ボケ猫)といろいろと話しを匂わせてる。

そして、戯言シリーズとの最大の違いは、これらの伏線はちゃんと回収されますし、思わせぶりなエピソードも描かれます。素敵ですね。

そういえば、化物語シリーズってこんなに続きそうな話じゃなかった

あとがきに、趣味だか悪ふざけで書いたほんですって書いてあって思い出したんだけど、この話って面白そうだけど、そこまでちゃんと続きが書かれたり、伏線が回収されないまま終わったりしそうな雰囲気をだしていたのを思い出しました。

ほら、戦場ヶ原ひたぎさんの性格はまだまだ安定しないし、阿良々木くんの彼女になったあとも他人に対するあたりはすごいきついし。
忍ちゃんはまだまだ話もしてくれないしってな具合だ。

一人楽になることは、辛い思いを捨てることはいけないことなのかしら

「僕は助けないよ、君が一人で勝手に助かるだけだ」
「被害者ぶってるのが気に食わないっていってるんだよ」
自分を助けてくれるひと、という触れ込みで、阿良々木くんから紹介された忍野メメが戦場ヶ原に言い放った言葉。

戦場ヶ原ひたぎは、怪異に一方的に虐げられているわけではなかった。
重い蟹、もとい思いし神に自分の辛い思いを預けて楽になるかわりに一緒に体重まで持って行かれているだけだった。
それから、ずるをしてごめんなさい。と思いを返してくださいと、神様に誤って自分の思いと体重を返してもらうというところで、怪異譚年ての話は思わる。

でもっその思いを神様にあずけてしまうというのはそこまで悪いことだったのかしら、とおもってしまう。
そこを否定されると宗教って結構辛いと思うのである意味でこのひたぎクラブは宗教を否定する話だったりもするのかもしれない。
#ほら、祈りを捧げて邪念が心に浮かばないように、なんてまんま自分の思い・感情を神様に捧げてしまう行為な気がするのだよ。

締め

ざっくりとした感想としてはこの程度。
軽く読み直してて思いついた観点からつらつらと感想を書いてみた。
この感想、最後まで読んでくれた人で原作を読んでいないという人がいたらぜひ購入して、読んでみて欲しい。
アニメしか見ていないって人がいればってくらいですけどね。